【障害年金】初診日の証明書が取れない…そんな時の対処法を専門家が徹底解説!

< うつ病の障害年金申請へ
障害年金を請求する上で、多くの方がつまずく最初の関門、それが「初診日の証明」です。初診日が証明できなければ、残念ながら障害年金を受け取ることはできません。
しかし、最初の病院が閉院していたり、カルテが破棄されていたりして、証明書が取得できないケースは決して珍しくありません。
「もう諦めるしかないのか…」と不安に思われるかもしれませんが、ご安心ください。証明書がなくても、初診日を認めてもらう方法はあります。
この記事では、障害年金の申請において最も重要な「初診日の証明」について、証明書が取得できない場合の具体的な対処法を分かりやすく解説します。
この記事では「初診日の証明」というテーマに絞って解説しますが、障害年金制度の全体像や基本的な3つの要件について先に確認したい方は、まずこちらの総合案内ページをご覧ください。
障害年金の「初診日」とは? なぜ証明が必要?
まず、「初診日」の定義を正しく理解することが重要です。
初診日とは、障害の原因となった病気やケガで、"初めて医師または歯科医師の診療を受けた日"を指します。単に自己判断で薬局の薬を飲んだ日や、整骨院・鍼灸院にかかった日は初診日とは認められません。
この初診日が重要なのは、以下の2点を決定する基準となるからです。
- 加入していた年金制度の確定: 初診日に「国民年金」と「厚生年金」のどちらに加入していたかで、支給される年金の種類(障害基礎年金か、障害厚生年金か)が決まります。
- 保険料納付要件の確認: 初診日の前日時点で、法律で定められた期間、きちんと年金保険料を納めているかを確認するために必要となります。
つまり、初診日が確定しないと、障害年金の審査そのものを進めることができないのです。
初診日証明の原則は「受診状況等証明書」
初診日を証明するための正式な書類が「受診状況等証明書」です。これは、最初に診療を受けた医療機関に作成を依頼するものです。

しかし、以下のような理由で、この書類が取得できない場合があります。
- 医療機関の廃院
- カルテの保存期間(5年)が経過し、破棄されている
- 火災などでカルテが焼失してしまった
このような場合でも、次に説明する方法で初診日を証明できる可能性があります。
証明書が取れない…まず何をすべき?
最初の病院で「受診状況等証明書」が取得できない場合、基本的には以下のステップで手続きを進めます。
- 受診歴を遡り、証明書を取得できる最も古い病院を探す
例えば、A病院 → B病院 → C病院の順で受診し、A病院の証明書が取れない場合、B病院に「受診状況等証明書」の作成を依頼します。もしB病院もダメなら、C病院に依頼します。 - 証明書が取れなかった病院について「申立書」を作成する
上記の例で、A病院の証明書が取れなかった場合、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を自分で作成し、提出する必要があります。これは、「なぜA病院の証明書を提出できないのか」という理由を申し立てるための書類です。
この2つの書類(②B病院の受診状況等証明書 + ①A病院に関する申立書)を提出することが、証明が難しい場合の基本的な申請方法となります。

初診日を裏付ける重要な「参考資料」一覧
ただし、「申立書」を提出しただけでは、初診日として認められるのは困難です。その申し立てた初診日が客観的に見て確かであることを裏付けるための「参考資料」を、できる限り多く集めることが非常に重要になります。
有力な参考資料には、以下のようなものがあります。
- 身体障害者手帳等の申請時の診断書
- 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書
- 事業所等の健康診断の記録
- 母子健康手帳
- 健康保険の給付記録(レセプトを含む)
- お薬手帳、糖尿病手帳、領収書、診察券(可能な限り診察日や診療科が分かるもの)
- 小学校、中学校等の健康診断の記録や成績通知書
- 盲学校、ろう学校の在学証明、卒業証明
- 第三者証明
一つの資料だけでは弱くても、複数の資料を組み合わせることで、信憑性が高まり、総合的に初診日が認められる可能性が高まります。例えば、「日付の入った診察券」と「同日のお薬手帳」があれば、その日にその病院にかかっていた有力な証拠となります。
【具体例】証明書がなくても初診日が認定される2つのケース
参考資料を揃える中でも、特にそれ自体が強力な証拠となり、初診日が認定されやすくなる代表的なケースを2つご紹介します。
ケース1:2番目の病院の証明書に「最初の病院」の受診歴が記載されている
1番目の病院(A病院)の証明書が取れず、2番目の病院(B病院)で「受診状況等証明書」を取得したとします。
この時、B病院の医師が作成した証明書の中に、「〇年〇月〇日にA病院を受診した」というような、A病院での受診状況に関する記載が含まれている場合があります。これは、B病院での診察時に、患者様自身が医師に「以前、A病院にかかっていました」と伝えた内容がカルテに記録されている場合に起こりえます。
特に、そのカルテ記録が障害年金の請求時から見て5年以上前のものであれば、客観的な事実として信憑性が高いと判断され、B病院の証明書だけで初診日が認められる可能性が非常に高くなります。
5年未満の記録であっても、無駄にはなりません。それ自体は有力な「参考資料」の一つとして扱われます。
ケース2:医師など医療従事者による「第三者証明」がある
「第三者証明」とは、ご家族(3親等内の親族は不可)以外の方に、当時のあなたの受診状況を証明してもらう書類です。
通常、友人や同僚など一般の方による第三者証明だけでは、他の参考資料がない限り、初診日の証明としては弱いと判断されがちです。
しかし、その証明者が医師、看護師、薬剤師といった医療従事者である場合は、話が大きく変わります。医療従事者による第三者証明は、それ一つで初診日の証明として認められることがあるほど強力です。
<具体例 >
初診でA病院の山本医師(仮名)に診てもらっていた。その後、山本医師がB病院に転勤したため、患者も追いかけてB病院に通うことになった。 いざ障害年金を請求しようとした際、A病院のカルテは既に破棄されていた。しかし、山本医師は当時の診察状況を鮮明に覚えていたため、「私がA病院で〇年〇月〇日に初めて診察しました」という内容の第三者証明を作成してくれた。
この場合、山本医師による第三者証明が、A病院の「受診状況等証明書」の代わりとして、有効な証明になるのです。

まとめ:諦めるのはまだ早い。一人で悩まず専門家への相談も検討しよう
初診日の証明書が取得できないという事態は、決して珍しいことではありません。しかし、だからといって障害年金の請求を諦める必要はまったくありません。
今回ご紹介したように、証明書がなくとも、申立書や参考資料を丹念に集めることで、初診日が認められる道は残されています。
とはいえ、どの資料が有効か、どのように申し立てれば審査で認められやすいかといった判断は、非常に専門的で複雑です。もし少しでも手続きに不安を感じたり、判断に迷ったりした場合は、障害年金を専門とする社会保険労務士に相談することを強くお勧めします。
専門家は、あなたの状況に合わせて最適な資料の集め方や申立書の書き方を熟知しています。一人で抱え込まず、ぜひ専門家の力を借りて、適切な障害年金の受給に繋げてください。

障害年金請求代行ホープ | はるた社会保険労務士事務所
社会保険労務士として年金事務所で10年以上お客様対応をしてきた経験に加え、精神保健福祉士として精神科病院の勤務経験を持つ。
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この記事は、はるた社会保険労務士事務所 代表の治田茂浩が監修しました。事務所概要はこちらのページで紹介しています。https://syougai-seishinhoken.com/info/


