障害年金の等級はこう決まる!精神障害の等級判定ガイドライン完全攻略ガイド

はじめに:あなたの等級はどう決まるのか?
精神疾患で障害年金を請求する際、「自分は何級に認定されるのだろう」と気になる方は多いと思います。実際の等級は、医師が作成する診断書の内容から、ある程度目安を考えることができます。
その根拠となるのが、日本年金機構が用いる「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」です。このガイドラインは、かつて障害年金の認定に都道府県間の差がみられたことを踏まえ、そのばらつきを是正するために策定されました。
この記事では、このガイドラインをもとに、障害等級の目安の見方や、最終的な等級判定で何が考慮されるのかを、できるだけわかりやすく解説します。
診断書を医師に依頼する前や、受け取った後に確認しておきたいポイントもあわせてお伝えします。
この記事では障害等級の「認定基準」というテーマに絞って解説しますが、障害年金制度の全体像や基本的な3つの要件について先に確認したい方は、まずこちらの総合案内ページをご覧ください。
等級判定の基礎:診断書の2つの「項目」を理解する
精神障害の等級は、診断書に記載される「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」をもとに判断されます。
これは、日常生活にどの程度の支障があるかをみるための重要な項目です。

項目①「日常生活能力の判定」~一人暮らしを仮定した7項目の評価~
診断書の「日常生活能力の判定」欄では、仮に一人で生活した場合に、以下の7つの項目をどの程度行えるかが4段階で評価されます。
<評価項目>
- 適切な食事
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬
- 他人とのコミュニケーション
- 身の回りの安全確保や危機対応
- 社会性
<評価段階と点数化>
各項目は4段階で評価され、審査の際に分かりやすくするために、以下のように点数に置き換えられます。
- できる ⇒ 1点
- おおむねできるが、助言や指導が必要なときがある ⇒ 2点
- 助言や指導があればできる ⇒ 3点
- 助言や指導があってもできない、または行わない ⇒ 4点
<平均点の算出> 7つの項目の点数をすべて合計し、その合計点を7で割って平均点を算出します。この平均点が、本人の能力の状態を示す客観的な数値の一つとなります。
(例)もし7項目すべてが「助言や指導があればできる(3点)」と評価された場合、平均点は3.0点となります。
項目②「日常生活能力の程度」~医師による5段階の総合評価~
指標①の能力判定に加え、医師が日常生活全般の状態をより包括的に5段階で評価します。
- 精神障害を認めるが社会生活は普通にできる。
- 精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には、援助が必要である。
- 精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。
- 精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。
- 精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。
等級の目安表:自分の「出発点」を確認する方法(注意点あり)
上記で確認した「① 日常生活能力の判定(平均点)」と「② 日常生活能力の程度(5段階評価)」がわかれば、下の表に当てはめて等級の目安を確認できます。

【表を見る上での最重要注意点】
- この表は「出発点」であり「ゴール」ではない:
この表はあくまで目安です。最終的な等級は、後述する「総合評価」によって決まります。目安と異なる等級になることもあります。 - 障害基礎年金に3級はない:
初診日に国民年金に加入していた方などが請求する障害基礎年金には、1級と2級しかありません。したがって、この表で「3級」や「3級・非該当」に当たる場合は、実質的に「2級に該当しない」という意味になります。ここは特に注意したい点です。
【最重要】等級を最終決定する「総合評価」の5つの分野
ここがいちばん大切なところです。
精神の障害年金では、まず診断書の「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」から、等級の目安を確認します。
ただ、等級はその目安だけで決まるわけではありません。
ガイドラインでは、この2つ以外の診断書の内容についても、現在の病状、療養状況、生活環境、就労状況、その他の5つの分野に分けて考えるとしています。
実際の認定では、まず目安を参考にしながら、診断書などの内容全体を見て、その等級が妥当かどうかを総合的に判断します。
そのため、目安と違う等級になることもありますが、その場合はきちんとした理由が必要です。
【分野①】現在の病状又は状態像
ここでは、現在の症状だけでなく、症状の経過、最近1年程度の変動状況、予後の見通しなどが考慮されます。
また、ひきこもりについても、精神障害の病状の影響により継続して日常生活に制限が生じている場合は考慮するとされています。統合失調症では陰性症状、気分障害では病相の経過、発達障害では対人関係や意思疎通の困難、感覚過敏なども、この分野で見られます。
【分野②】療養状況
療養状況では、通院の頻度、治療内容、薬物治療の目的や内容、服薬状況、入院の有無や入院中の状況、在宅での療養状況などが考慮されます。
通院や薬物治療が困難又は不可能な場合には、その理由や他の治療の有無及び内容も考慮するとされています。さらに、病棟内で本人の安全確保のために常時個別の援助が継続して必要な場合は1級の可能性、在宅で家族や重度訪問介護等から常時援助を受けて療養している場合は1級または2級の可能性を検討するとされています。
【分野③】生活環境
生活環境では、家族等の日常生活上の援助や福祉サービスの有無、グループホームや施設入所の有無、独居である場合の事情などが考慮されます。
独居であっても、日常的に家族等の援助や福祉サービスを受けることで生活できている場合や、現に支援を受けていなくても本来は支援が必要な状態である場合には、その支援の状況や必要性を踏まえて2級の可能性を検討するとされています。
【分野④】就労状況
就労状況は重要ですが、働いていることだけで直ちに軽いとはいえないのが、ガイドラインの明確な考え方です。
労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものとは捉えず、仕事の種類、内容、就労状況、職場で受けている援助、他の従業員との意思疎通の状況などを十分に確認したうえで判断するとされています。援助や配慮が常態化した環境下で安定した就労ができている場合でも、その援助や配慮がない場合に予想される状態を考慮するとされています。
また、相当程度の援助を受けて就労している場合については、就労継続支援A型・B型や障害者雇用での就労は1級または2級の可能性を、就労移行支援についても同様に検討するとされています。一般企業や自営・家業等であっても、これらと同程度の援助を受けていれば2級の可能性を検討するとされています。さらに、欠勤・早退・遅刻の頻度、臨機応変な対応や意思疎通の困難、単純反復業務に限られているかどうかなども考慮要素として示されています。
【分野⑤】その他
「その他」には、「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」に齟齬がある場合や、判定平均が低くても、各障害の特性に応じて特定の項目に著しい偏りがあり、日常生活に大きな支障が生じていると考えられる場合などが含まれます。
つまり、表の数字だけで機械的に決めるのではなく、評価の整合性や障害特性による偏りまで含めて見ていくということです。
適正な等級認定を得るためのアクションプラン
以下は、等級判定ガイドラインそのものの文言ではありませんが、診断書や病歴・就労状況等申立書に生活実態を適切に反映してもらうために、実務上とても重要なポイントです。
医師に診断書を依頼する前に:「伝えるべきこと」メモの準備
実態に近い診断書を書いてもらうためには、医師に日常生活の状況を具体的に伝えることが大切です。診察時間は限られているため、「日常生活能力の判定」の7項目に沿って、困っていることを具体的にメモしておくと役立ちます。
診断書を受け取ったら:提出前に必ず内容を確認・相談
医師から診断書を受け取ったら、そのまま提出するのではなく、内容を確認することが大切です。
もし、ご自身の感覚や実態と大きく異なると感じる点があれば、医師に相談し、修正を検討してもらうことも考えられます。その際は、感情的に訴えるのではなく、「先生に書いていただいたこの部分ですが、実際の生活では〇〇のような状況です」といった形で、具体的な事実をもとに伝えることが大切です。
提出後に内容を修正するのは簡単ではないため、提出前に確認しておく方が安心です。
まとめ:あなたの実態に見合った等級を考えるために
精神障害の等級は、表だけで機械的に決まるわけではありません。
まずは診断書の「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」から等級の目安を確認し、そのうえで、現在の病状、療養状況、生活環境、就労状況、その他の5つの分野を踏まえて総合的に判断されます。
そのため、表の数字だけを見るのではなく、診断書全体の内容や、実際の日常生活・就労の状況が自然に伝わることが大切です。
医師に状況を具体的に伝え、診断書と申立書の内容を丁寧に整えていくことが、実態に合った認定につながります。もし、医師への伝え方や書類の作成に不安があれば、一人で悩まず、専門家に相談することも検討してください。

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この記事は、はるた社会保険労務士事務所 代表の治田茂浩が監修しました。事務所概要はこちらのページで紹介しています。https://syougai-seishinhoken.com/info/


