障害等級の目安について
精神障害について、等級が何級に決定するかは診断書の記載内容から概ねわかります。
「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」に記載がありますので、説明したいと思います。
診断書の日常生活能力の判定と程度
診断書には「2 日常生活能力の判定」欄と「3 日常生活能力の程度」欄があります。それを点数化し、障害等級の目安の表にあてはめると、等級の目安がわかります。
では具体的に説明します。
上記の診断書の左の部分(オレンジで囲っている部分)が「2 日常生活能力の判定」欄になります。
(1)適切な食事
(2)身辺の清潔保持
(3)金銭管理と買い物
(4)通院と服薬(要・不要)
(5)他人との意思伝達及び対人関係
(6)身辺の安全保持及び危機対応
(7)社会性
全部で7項目あり、「できる」「おおむねできるが時には助言や指導を必要とする」「助言や指導があればできる」「助言や指導をしてもできない若しくは行わない」の4段階評価になっています。
評価の注意点として、単身で生活するとしたら可能かどうかで判定します。例えば家族と同居していて、食事の用意も家族が行い、出されたものを食べているだけの場合、食事が出来ていたとしても「できる」となりません。
一人で生活したと仮定した時に、栄養バランスも考えた献立をたて、調理をし、適当な量をバランスよく食べ、後片付けまで自分で出来て、はじめて「(1)適切な食事」が「できる」となります。
では次に、この7項目にそれぞれ点数をつけていきます。
- できる ⇒1点
- おおむねできるが時には助言や指導を必要とする ⇒2点
- 助言や指導があればできる ⇒3点
- 助言や指導をしてもできない若しくは行わない ⇒4点
7項目すべてに点数をつけた後は、すべての点数の合計点を7で割り、平均を出します。
例えば、7項目すべてが3点の場合、3点×7項目÷7=3点(平均)となります。
次に診断書の右の部分(青で囲っている部分)が「3 日常生活能力の程度」欄になります。
精神障害と知的障害に分かれており、知的障害がある場合は知的障害の欄を使い、それ以外は精神障害の欄を使います。
下記のように5段階評価となっています。
(1)精神障害を認めるが社会生活は普通にできる。
(2)精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には、援助が必要である。
(3)精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。
(4)精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。
(5)精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。
該当するもの1つに〇が付けられます。
障害等級の目安の表
上記で出した「2 日常生活能力の判定」の平均と「3 日常生活能力の程度」を、下の「障害等級の目安」の表にあてはめて、縦軸と横軸の交わるところが等級の目安です。
例えば「2 日常生活能力の判定」の平均が3、「3 日常生活能力の程度」が(4)の場合、縦軸と横軸で交わる部分が「2級」ですので、等級の目安は2級となります。
ただし、あくまでも目安であって、ほかにも考慮する点があり、それらを含んで総合的に評価するため、目安と異なる等級に決定することもあります。
診断書の記載内容をよく点検してください。
障害等級の目安について説明してきました。
今まで説明した内容は、あくまでも等級の目安ですが、等級判定において「2 日常生活能力の判定」と「3 日常生活能力の程度」は非常に重要であることがおわかり頂けたと思います。
なので、診断書を医師から受け取った際は、「2 日常生活能力の判定」と「3 日常生活能力の程度」欄をよく確認し、自分の実情と合っていないようであれば、医師に訂正してもらうようにしてください。
一度、診断書を提出し、その内容で審査されると、それを覆すのは非常に難しくなります。軽い等級で決定され後悔する前に勇気を出して医師にお願いしましょう。
しかし、ご自分で医師に訂正の依頼をできない場合や、また訂正の依頼をしたけれど応じてくれなかった場合などは、当事務所にご相談ください。日常生活の状況をお伺いし、適切なアドバイスをさせて頂きたいと思います。