障害年金を自分で申請する方法|初めてでも迷わない実践ガイド

障害年金を自分で申請する

障害年金は、病気やケガで就労や日常生活に支障がある方の生活を支える公的年金です。専門家に依頼しなくても、ご自身やご家族だけで申請することは可能です。実際、自力で完了している人も多くいます。
一方で、初診日の証明、診断書の依頼、病歴・就労状況等申立書の作成など、いくつかの“つまずきポイント”があります。本記事は、自力申請に必要な準備・手順・注意点を一つひとつ整理し、失敗を減らすためのコツをまとめた実用ガイドです。

障害年金は自分で申請できる?

結論として、障害年金はご本人やご家族だけで申請可能です。法律上、専門家に依頼しなくても、必要書類を揃えて正しく提出すれば受給できます。

ただし、受給のためには以下の3条件を満たす必要があります。

  1. 初診日要件:障害原因となった傷病について最初に受診した日(初診日)が明確であること。
  2. 保険料納付要件:初診日前日時点で一定期間、年金保険料を納付(または免除)していること。
  3. 障害状態の等級:障害認定基準に照らし、1~3級の状態に該当すること。

これらをクリアしていれば、自力でも障害年金を受け取れる可能性があります。

自力申請のメリット・デメリット

メリット

  • 費用がかからない
    社会保険労務士(社労士)に依頼する場合、成功報酬として初回受給額の10〜15%が必要になるのが一般的です。自分で申請すればこうした費用が不要となり、その分を生活費や治療費に充てられます。
  • 自分のペースで進められる
    書類作成や窓口への相談を、体調や生活リズムに合わせて無理なく進めることができます。体調の波がある方でも、良い時に集中して作業できる点は大きな利点です。
  • 制度理解が深まる
    必要書類の収集や病歴・就労状況等申立書の作成を通して、障害年金制度そのものを理解できます。これは初回の申請だけでなく、更新や将来の再申請時にも役立つ知識となります。
  • プライバシーを守れる
    障害の程度や生活上の困難といったセンシティブな情報を、第三者に話す必要がありません。特に心の病や家庭環境に関わる内容は他人に伝えにくいため、自力で行うことで安心感を得られます。
  • 自分でコントロールできる
    専門家に任せる場合は打ち合わせや連絡が必要ですが、自分で行えば必要なときにすぐ動ける自由度があります。計画的に進めれば、自分のタイミングで申請を終えることも可能です。

デメリット

  • 時間と労力がかかる
    書類作成や診断書依頼、初診日証明の取得などで合計数十時間を要することも珍しくありません。年金事務所に何度も足を運ぶ必要があり、平日に通院・通所するのが難しい方には大きな負担になります。
  • ミスのリスクが高い
    記入漏れや不十分な記載があると、受給できるはずの年金が不支給になったり、より低い等級に判定されることもあります。専門知識がない状態でゼロから挑戦すると、細かい部分でのミスが起こりやすいのが実情です。
  • 精神的・身体的な負担
    障害や病気で体調が優れない中、複雑な書類作業や窓口での長時間待機を繰り返すのは大きなストレスになります。体力を消耗し、病状に悪影響を及ぼすケースもあります。
  • 結果への不安が続く
    書類の完成度に自信が持てず、「本当に通るのだろうか」と結果が出るまで落ち着かない方も多いです。不支給となった場合、自分で審査請求や再申請を行うのは難易度が高く、精神的なプレッシャーを強く感じます。
  • ポートを受けにくい
    自分で申請する場合、年金事務所はあくまで書類の提出先であり、細かい書き方の指導まではしてくれません。結果的に「誰にも相談できず一人で抱え込む」状態に陥るリスクもあります。

申請準備と流れ

1. 初診日を把握する(年金事務所に行く前に必須)

障害年金の申請では、まず初診日を自分で確認することが何より重要です。
「いつ」「どの医療機関で」最初に診てもらったのかが審査の基準となり、間違えると申請自体が無効になる恐れがあります。

  • 手がかりになるのは、お薬手帳・領収書・通院記録など。
  • 記憶だけに頼らず、客観的資料を集めて確認するのが望ましいです。

もしカルテが廃棄されていた場合でも、領収書や他院の記録を補足資料として活用できます。


2. 年金事務所で納付要件を確認し、書類を受け取る

初診日を確認できたら、最寄りの年金事務所へ相談に行きましょう。以下のことに対応してもらえます。

  • 保険料納付要件を満たしているか確認してもらえる
  • 必要書類一式(請求書・診断書用紙・病歴就労状況等申立書など)を受け取れる
  • 手続きの流れや注意点の基本的な説明を聞ける

事前に電話で予約して「障害年金の相談」と伝えておくとスムーズです。


3. 必要書類の収集と作成

障害年金を申請するには、次の主要書類を準備する必要があります。

  • 受診状況等証明書(初診日証明)
    初診医療機関で発行されるもので、いつどこで最初に受診したかを証明する重要書類です。カルテが残っていない場合は、領収書や紹介状などの参考資料を添付し「受診状況等証明書が添付できない申立書」で代替する方法もあります。
  • 診断書
    主治医に依頼して作成してもらいます。障害の種類ごとに専用様式があり、内容は審査の判断に直結するため、日常生活の困難を具体的に医師に伝えることが大切です。
  • 病歴・就労状況等申立書
    本人が記入する書類で、発病から現在までの経過や生活の支障を具体的に説明します。審査官に実態を伝える唯一の本人作成書類です。
  • 障害年金裁定請求書
    基礎年金番号や口座、家族状況などを記入する基本申請書で、年金事務所や役所で入手できます。

このほか、戸籍謄本や住民票、障害者手帳のコピー、代理人申請なら委任状などが必要になる場合があります。提出前に年金事務所で必ず確認し、漏れなく揃えることが重要です。


4. 年金事務所へ書類提出

書類が揃ったら、年金事務所に提出します。提出時には職員が不備を確認しますが、完璧にチェックしてもらえるわけではないため、事前に自分でも整合性(病名・日付)や記入漏れを確認しておきましょう。


5. 提出後の流れと結果通知

必要書類を提出すると、日本年金機構による審査が始まります。審査には通常 2〜3か月程度 かかり、内容や時期によってはさらに長くなる場合もあります。

  • 承認された場合
    「年金証書・支給決定通知書」が自宅に郵送されます。ここには受給が認められた等級、年金額、支給開始日などが明記され、指定した口座に振込が始まります。初回の振込には過去分の遡及支給が含まれることもあります。
  • 不支給となった場合
    「不支給通知書」が届きます。通知には不支給の理由が記載されているため、まずはその内容をしっかり確認しましょう。そのうえで納得できない場合は、通知から 3か月以内に審査請求(不服申立て) を行うことが可能です。また、必要に応じて診断書や申立書を見直し、内容を整えて 再申請 を検討する方法もあります。

自分で申請する時によくある5つのつまずき


専門家・支援機関に依頼する場合との違い

  • 年金事務所(公的窓口)
    障害年金の正式な提出先です。必要書類の説明や流れは案内してもらえますが、申請内容の添削や書類作成の代行は行いません。不備があれば受理されないため、最終的な責任は本人にあります。

まとめ

障害年金を自分で申請する際は、「初診日の特定」→「年金事務所で納付要件確認と書類入手」→「必要書類作成」→「提出と審査」という流れを踏むことが基本です。

自力申請は負担もありますが、費用をかけずに制度理解を深められるメリットがあります。反対に、不安や負担が大きい場合は、社労士や支援団体の力を借りるのも選択肢の一つです。

焦らず一歩ずつ進め、必要なサポートを受けながら申請を成功させてください。