【例文・チェックリスト付】ADHDの障害年金|診断書・申立書で「困難さ」を伝える書き方

はじめに
「注意散漫でミスが多い…」
「衝動的に動いてしまい、人間関係がうまくいかない…」
「じっとしているのが苦手で、仕事が長続きしない…」
ADHD(注意欠陥多動性障害)は、その特性によって日常生活や仕事に大きな困難を生じさせることがある発達障害です。その困難さは、あなたの「がんばりが足りない」せいではありません。
そして、その困難の程度によっては、障害年金という公的な経済支援を受けられる可能性があります。
本記事では、精神疾患専門の社会保険労務士が、申請の最も重要なカギとなる「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」について、「困難さ」をしっかり伝えるための書き方のコツを、具体的な例文とチェックリストで徹底解説します。
【前提】障害年金受給の3つの基本要件
障害年金を受給するためには以下の3つの基本要件を満たしている必要があります。
- 初診日の要件:
はじめて医療機関を受診した「初診日」において、国民年金または厚生年金に加入していること。 - 保険料納付の要件:
初診日の前に、年金保険料を一定期間納めていること。 - 障害状態の要件:
障害の程度が、国の定める等級に該当すること。
各要件の基本的な定義については、まずはこちらの総合案内ページをご確認ください。
最初に知ってほしいこと:審査は「病名」ではなく「生活の困りごと」の程度で決まる
審査で重視されるのは、ADHDの特性によって「日常生活や仕事にどれくらいの支障(制限)が出ているか」という実態です。国のガイドラインでも、金銭管理・対人関係・身の回りのこと・作業の持続・就労継続など、日常生活の様々な場面が総合的に評価されると定められています。
ですから、申請への第一歩は、あなたの普段の「困りごと」を具体的に整理し、“見える化”することから始まります。
参考:日本年金機構「精神の障害に係る等級判定ガイドラインの案内ページ」
【重要ステップ1】医師に「困難さ」の実態を伝える(診断書の準備)
診断書は、医師があなたの生活状況を証明する、申請の核となる最重要書類です。診察時間が短くても的確な診断書を書いてもらうために、事前に「伝えることリスト」を準備していくのが成功の鍵です。
診断書依頼前・準備チェックリスト
このチェックリストは、短時間の診察でもADHD特性による困難が診断書に反映されるよう、事前に 「場面 × 困難 × 頻度(回数・時間) × 支援の要否 × 結果(影響) × 客観資料」 を整理するためのメモです。
病名や自己評価ではなく、観察できる事実(例:期限管理の破綻/口頭指示の保持困難/先延ばし・過集中の反復/衝動買いによる金銭管理不能など)を数字と具体例で用意すると、医師が「日常生活能力の判定/程度」に落とし込みやすくなります。
- 一番困っていることを3つに絞ってメモしましたか?
- いつ・どこで・どうなったかという失敗エピソードを書き出しましたか?
- その困りごとに対し、誰かに助けてもらった(援助)経験を思い出せますか?
- 頻度・回数・時間などの数字で表現できることはありませんか?(例:月〇回、〇分で集中が切れる)
- 客観的な証拠(注意メール、勤怠記録、家族のメモなど)はありますか?
医師への伝え方(診断書に反映させたい要素の例文)
ここに挙げる例は、医師が診断書へ転記しやすい「観察可能な事実+頻度(回数・時間)+支援の必要性+結果(影響)」の形に整えています。
病名や気持ちだけでなく、どの場面で何ができず、恒常的にどんな支援が要るのかを端的に共有しましょう。診断書の記載は医師の医学的判断で決まるため、表現の強要は避け、事実メモの提供に徹するのが安全です。
- 不注意の例:
「単純な入力ミスを繰り返し、上司に何度も修正を依頼。業務に大きな遅れが出ており、職場での立場が厳しくなっています。」 - 衝動性の例:
「会議で相手の話を遮って発言してしまい、この半年で2回取引先とのトラブルに。
衝動的に高額な商品を購入するため、金銭管理は配偶者に任せています。」 - 多動性の例:
「15分以上の会議になるとそわそわして離席。事前の資料共有などの配慮がないと、参加自体が困難です。」
【重要ステップ2】あなたの言葉で具体性をプラスする「病歴・就労状況等申立書」の書き方
「病歴・就労状況等申立書」は、診断書だけでは伝わりきらないあなたの生の声を届けられる唯一の書類です。診断書の内容を、ご自身の言葉で具体的に「翻訳」するイメージで書きましょう。
最強の型「事実 × 頻度 × 援助 × 証拠」で書く!
【事実】いつ、どこで、何が起きたか
例:単純な入力ミスを繰り返した
【頻度】どれくらいの頻度で起こるか
例:1時間に5回以上のペース
【援助】誰がどう助けてくれたか
例:上司がダブルチェックし、その都度修正
【証拠】具体的な結果・影響は?
例:業務が定時に終わらず、チーム全体の作業を遅らせた
この型を参考に、仕事・家事・金銭管理・対人関係など、生活全体の困りごとを記述していきましょう。より詳しい書き方や全体の記入例は、【記入例あり】障害年金の審査を左右する!『病歴・就労状況等申立書』の書き方を社労士が徹底解説で解説しています。
ADHDの障害年金、よくある疑問を解決!
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働きながらでも受給できますか?
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はい、可能です。ただし「どんな働き方か」が重要。勤務時間の短縮、単純作業への変更、欠勤・早退の頻度など、職場の配慮や就労の不安定さを、勤怠記録や業務日報などの客観資料と共に具体的に示すことがポイントです。
→ 詳しくは 働きながら障害年金はもらえる?国の基準から見る「正しい伝え方」
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二次障害でうつ病も持っている場合は?
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うつ病があるから自動的に有利、というわけではありません。重要なのは病名の数ではなく、併発によってADHD単体のときより「生活・仕事の困難さが増している」という実態です。その状況を診断書・申立書の双方に反映させましょう。
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更新手続きで気をつけることはありますか?
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日々の困りごとの記録が有効です。障害年金の多くは1〜5年ごとの更新が必要。受給期間中の困難、受けた援助、仕事での支障などを具体的に記録しておくと、更新時の診断書で最悪期の状態を伝えやすくなります。
まとめ:一人で抱え込まず、専門家という選択肢を
ADHDの特性による困難さは、決して一人で抱え込む必要はありません。申請が複雑に感じるときは、この記事のチェックリストと例文を使って、まずは自分の困りごとの“見える化”から始めてみてください。手続きに不安があれば、専門家を頼るのも賢明な選択です。
⇒制度の基本や等級・必要書類の詳細は 精神障害の障害年金ガイド をご覧ください。
⇒ASD版はこちら

障害年金請求代行ホープ | はるた社会保険労務士事務所
社会保険労務士として年金事務所で10年以上お客様対応をしてきた経験に加え、精神保健福祉士として精神科病院の勤務経験を持つ。
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まずは無料相談から、お気軽にご連絡ください。
この記事は、はるた社会保険労務士事務所 代表の治田茂浩が監修しました。事務所概要はこちらのページで紹介しています。https://syougai-seishinhoken.com/info/


