【例文・チェックリスト付】ADHDの障害年金|診断書、病歴・就労状況等申立書で「困難さ」を伝える書き方

はじめに
「注意散漫でミスが多い…」
「衝動的に動いてしまい、人間関係がうまくいかない…」
「じっとしているのが苦手で、仕事が長続きしない…」
ADHD(注意欠陥多動性障害)は、その特性によって、日常生活や仕事に大きな困難が生じることのある発達障害です。
その困難さは、あなたの「がんばりが足りない」せいではありません。
そして、その困難の程度によっては、障害年金という公的な経済支援を受けられる可能性があります。
本記事では、精神疾患専門の社会保険労務士が、申請の最も重要なカギとなる「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」について、「困難さ」をしっかり伝えるための書き方のコツを、具体的な例文とチェックリストで徹底解説します。
【前提】障害年金受給の3つの基本要件
障害年金を受給するには、主に「初診日要件」「保険料納付要件」「障害状態要件」の3つを満たす必要があります。
ただし、障害基礎年金では、20歳前の年金制度に加入していない時期に初診日がある場合、保険料納付要件はありません。
各要件の基本的な定義については、まずはこちらの総合案内ページをご確認ください。
最初に知ってほしいこと:審査は「病名」ではなく「生活の困りごと」の程度で決まる
審査で重視されるのは、ADHDの特性によって、日常生活や仕事にどの程度の支障が出ているかという実態です。審査では、金銭管理、対人関係、身の回りのこと、作業の持続、就労の状況など、日常生活のさまざまな場面が総合的に見られます。
そのため、申請の第一歩は、普段どのようなことで困っているのかを具体的に整理し、見える形にしていくことです。
参考:日本年金機構「精神の障害に係る等級判定ガイドラインの案内ページ」
【重要ステップ1】医師に「困難さ」の実態を伝える(診断書の準備)
診断書は、医師があなたの生活状況を証明する、申請の核となる最重要書類です。診察時間が短くても的確な診断書を書いてもらうために、事前に「伝えることリスト」を準備していくのが成功の鍵です。
診断書依頼前・準備チェックリスト
このチェックリストは、短時間の診察でもADHDの特性による困難が診断書に反映されやすくなるよう、事前に状況を整理するためのメモです。
「どんな場面で」「どんな困りごとが」「どのくらいの頻度で起きるか」「支援が必要か」「どんな影響が出ているか」「裏付けになる資料があるか」を整理しておくと、実態が伝わりやすくなります。
病名や自己評価ではなく、観察できる事実を、具体例や数字でまとめておくことが大切です。
- □ 一番困っていることを3つに絞ってメモしましたか?
- □いつ・どこで・どうなったかという具体的な失敗エピソードを書き出しましたか?
- □その困りごとに対して、誰かに助けてもらった経験を思い出せますか?
- □頻度・回数・時間などを数字で表現できることはありませんか?
例:月〇回、〇分で集中が切れる - □客観的な資料はありますか?
例:注意メール、勤怠記録、家族のメモなど
医師への伝え方(診断書に反映させたい要素の例文)
ここに挙げる例は、医師が診断書に反映しやすいよう、「観察できる事実」「頻度」「支援の必要性」「結果」の形で整えています。
病名や気持ちだけでなく、どの場面で何ができず、どのような支援が必要なのかを簡潔に伝えましょう。
なお、診断書の表現は医師の医学的判断によるため、無理に言い回しを求めるのではなく、事実を整理して伝えることが大切です。
- 不注意の例:
単純な入力ミスを繰り返し、その都度上司に修正してもらうことが多いため、業務が予定どおりに進まず、職場での信用にも影響が出ている。 - 衝動性の例:
会議では相手の話が終わる前に発言してしまうことがあり、この半年で2回、取引先とのトラブルにつながった。また、衝動的に高額な商品を購入してしまうことがあるため、金銭管理は配偶者に任せている。 - 多動性の例:
15分以上の会議になると落ち着かなくなり、途中で離席してしまうことがある。事前に資料共有などの配慮がない場合は、会議への参加自体が難しい。
【重要ステップ2】あなたの言葉で具体性をプラスする「病歴・就労状況等申立書」の書き方
「病歴・就労状況等申立書」は、診断書だけでは伝わりきらない生活実態を、ご自身の言葉で具体的に補う大切な書類です。
診断書の内容を、ご自身の言葉でより具体的に伝えるイメージで書いていきましょう。
最強の型「事実 × 頻度 × 援助 × 結果」で書く!
【事実】いつ、どこで、何が起きたか
例:単純な入力ミスを繰り返した
【頻度】どれくらいの頻度で起こるか
例:1時間に5回以上のペース
【援助】誰がどう助けてくれたか
例:上司がダブルチェックし、その都度修正
【結果】具体的な影響は?
例:業務が定時に終わらず、チーム全体の作業を遅らせた
この型を参考に、仕事、家事、金銭管理、対人関係など、生活全体の困りごとを書いていきましょう。
より詳しい書き方や全体の記入例は、こちらの記事で解説しています。
【記入例あり】障害年金の審査を左右する!『病歴・就労状況等申立書』の書き方を社労士が徹底解説
ADHDの障害年金、よくある疑問を解決!
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働きながらでも受給できますか?
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はい、可能です。
ただし、大切なのは「働いているかどうか」ではなく、「どのような働き方をしているか」です。
勤務時間の短縮、単純作業への変更、欠勤や早退の頻度、職場で受けている配慮などを、勤怠記録や業務日報などの資料とあわせて具体的に伝えることが大切です。
→ 詳しくは 働きながら障害年金はもらえる?国の基準から見る「正しい伝え方」
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二次障害でうつ病も持っている場合は?
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うつ病があるからといって、自動的に有利になるわけではありません。
重要なのは病名の数ではなく、併発によってADHD単体のときより生活や仕事の困難さが増しているという実態です。
その状況を、診断書と病歴・就労状況等申立書の双方に反映させましょう。
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更新手続きで気をつけることはありますか?
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日々の困りごとの記録は有効です。障害年金の多くは1〜5年ごとの更新があり、更新時の診断書では提出期限前3か月以内の障害の状態が記載対象になります。
そのため、受給期間中の困難、受けた援助、仕事での支障などを具体的に記録しておくと、更新時に現在の状態を医師へ伝えやすくなります。
まとめ:一人で抱え込まず、専門家という選択肢を
ADHDの特性による困難さは、決して一人で抱え込む必要はありません。
申請が複雑に感じるときは、この記事のチェックリストや例文を使って、まずはご自身の困りごとを整理するところから始めてみてください。
手続きに不安がある場合は、専門家に相談することも一つの方法です。
⇒【受給事例】ADHDで障害厚生年金2級が決定|「生活が回らない」実態を審査に認めてもらう“伝え方”の事例
⇒制度の基本や等級・必要書類の詳細は 精神障害の障害年金ガイド をご覧ください。
⇒ASD版はこちら

障害年金請求代行ホープ | はるた社会保険労務士事務所
社会保険労務士として年金事務所で10年以上お客様対応をしてきた経験に加え、精神保健福祉士として精神科病院の勤務経験を持つ。
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この記事は、はるた社会保険労務士事務所 代表の治田茂浩が監修しました。事務所概要はこちらのページで紹介しています。https://syougai-seishinhoken.com/info/


