障害年金の納付要件を満たせない?諦める前に確認すべき全知識

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障害年金の請求において、多くの方が最初に直面する壁が「保険料納付要件」です。この要件を満たしていないと、原則として障害年金を受給することはできません。しかし、納付要件を満たしていないとすぐに判断し、請求を諦めてしまうのは早計です。
この記事では、障害年金の納付要件の正確な知識と、要件を満たさない場合に検討すべき具体的な対処法、そして見落とされがちな救済制度まで、専門家の視点から網羅的に解説します。
この記事では「納付要件」というテーマに絞って解説しますが、障害年金制度の全体像や基本的な3つの要件について先に確認したい方は、まずこちらの総合案内ページをご覧ください。
障害年金の「保険料納付要件」とは?
障害年金を受給するためには、初診日の前日において、以下の(1)または(2)のいずれかの納付要件を満たしている必要があります 。
(1)原則(3分の2要件)
初診日のある月の前々月までの公的年金の被保険者期間のうち、保険料を納付した期間と免除された期間を合わせた期間が、全体の3分の2以上あること 。
(2)特例(直近1年要件)
上記の原則要件を満たせない場合でも、初診日において65歳未満であれば、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければ、特例的に要件を満たすと認められます 。
(3)最重要例外:20歳前傷病の場合は納付要件が問われない
初診日が20歳になる前にある傷病(「20歳前傷病」といいます)については、国民年金の加入および保険料納付が義務ではないため、保険料納付要件は一切問われません 。これは非常に重要な例外規定ですが、本人の所得に応じた支給制限が設けられています 。
(4)注意:初診日以降の保険料納付は算入されない
納付要件は、あくまで初診日の前日時点の納付状況で判断されます。たとえ、初めて医療機関を受診した日の後に、過去の未納分を遡って納付(後納)しても、その初診日に係る障害年金の納付要件を満たすことにはなりません 。
納付要件を満たさない場合の対処法
納付要件を満たしていないと判明した場合でも、すぐに諦めるのではなく、これから解説する可能性を探ることが重要です。
対処法①:初診日を変更できる可能性を探る
ご自身が「初診日」だと思っている日が、制度上の初診日とは異なる場合があります。初診日が変われば、納付要件を判定する期間も変わるため、要件を満たせる可能性があります。
「相当因果関係」による初診日の変更
現在の障害と、それ以前にかかった別の病気との間に医学的な因果関係(相当因果関係)が認められる場合、前の病気で初めて受診した日が初診日となります 。
例えば、職場のストレスで不眠や頭痛を感じて内科を受診し、その後症状が改善せず精神科で「うつ病」と診断された場合を考えます。この場合、不眠とうつ病は一連の流れによるものとして、最初に内科を受診した日がうつ病の初診日として扱われる可能性があります 。精神科受診日では納付要件を満たせなくても、内科受診日で要件を満たしていれば、障害年金を請求できるのです。
初診日の証明が難しい場合
古い初診日を証明しようにも、当時の病院が廃院していたり、カルテが破棄(法律上の保存義務は5年)されていたりして、初診日の証明書(受診状況等証明書)が取得できないケースは少なくありません 。その場合でも、「受診状況等証明書が添付できない申立書」に、以下のような客観的な資料を添付して申し立てることで、初診日が認められる可能性があります 。
- 2番目以降に受診した医療機関のカルテの写し
- 身体障害者手帳やその申請時の診断書
- 生命保険等の給付申請時の診断書
- お薬手帳、領収書、診察券など
- 第三者(家族以外)による証明
対処法②:「社会的治癒」の法理を正しく理解する
「社会的治癒」とは、医学的には完治していなくても、治療や投薬が不要となり、相当期間(概ね5年が目安)にわたり通常の社会生活(就労など)を問題なく送れていた場合、その傷病は一度治癒したものとみなし、再発して受診した日を新たな「初診日」とする考え方です 。
最初の初診日で納付要件を満たせなくても、社会的治癒が認められれば、再発後の新たな初診日で納付要件をクリアできる可能性があります 。
社会的治癒を主張するか否かは、ご自身の年金加入歴をよく確認し、慎重に判断する必要がある、極めて専門的な戦略判断です。
見落とされがちな救済制度
特別障害給付金制度
過去の年金制度の変遷の中で、国民年金への加入が任意だったために未加入となり、障害を負っても障害基礎年金を受給できない方々を救済するための福祉的な制度です 。
- 主な対象者
- 平成3年3月以前に学生であり、国民年金に任意加入していなかった方
- 昭和61年3月以前に会社員等の配偶者であり、国民年金に任意加入していなかった方
- 要件
上記の任意未加入期間中に初診日があり、現在、障害等級1級または2級相当の障害状態にあることなどが要件となります。原則65歳になる前に請求する必要があります 。
心当たりのある方は、お住まいの市区町村役場の年金担当窓口や年金事務所にご相談ください 。
最後に:専門家への相談の重要性
本記事では、納付要件を満たさない場合の対処法や救済制度について解説しました。しかし、これらの判断はいずれも極めて専門的で、個々の状況によって最適な戦略は大きく異なります。
特に「初診日の特定」や「社会的治癒の主張」は、ご自身の判断だけで進めると、意図せず不利な結果を招く危険性もはらんでいます。
障害年金の請求は、ご自身の人生を左右する重要な手続きです。少しでも不安や疑問があれば、安易に自己判断せず、障害年金を専門とする社会保険労務士などの専門家に相談することを強くお勧めします。

障害年金請求代行ホープ | はるた社会保険労務士事務所
社会保険労務士として年金事務所で10年以上お客様対応をしてきた経験に加え、精神保健福祉士として精神科病院の勤務経験を持つ。
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この記事は、はるた社会保険労務士事務所 代表の治田茂浩が監修しました。事務所概要はこちらのページで紹介しています。https://syougai-seishinhoken.com/info/


