傷病手当金と障害年金は一緒にもらえる?【併給調整を説明|同一傷病・日額比較・返還まで】

結論:まず、これだけ覚えておけばOK!

  1. 同じ病気やケガで「障害厚生年金」と「傷病手当金」の期間が重なる場合、傷病手当金が調整(停止または減額)されます。
  2. 障害基礎年金」だけをもらっている場合は、原則として傷病手当金との調整はありません
  3. 障害年金と傷病手当金の原因が別の病気やケガである場合も、原則として調整はありません
  4. 後から障害年金の受給が決まり(遡及決定など)、過去の期間が重なった場合、受け取った傷病手当金を返金する必要が生じることがあります。

そもそも「併給調整」とは?

なぜ調整が必要なの? 🤔 同じ病気やケガを原因として、「健康保険の傷病手当金」と「厚生年金保険の障害年金(障害厚生年金・障害手当金)」の両方から満額の保障を受けると、過剰な給付になってしまいます。これを避けるため、傷病手当金の支給額を調整する仕組みが「併給調整」です。

どうやって調整するの?

調整は、それぞれの1日あたりの金額(日額)を比べて行います。

  • 年金の日額 ≧ 傷病手当金の日額
    • 傷病手当金は支給されません
  • 年金の日額 < 傷病手当金の日額
    • その差額分だけ、傷病手当金が支給されます。

ケース別:こんな場合はどうなる?

ケース1:同じ病気で「障害厚生年金」と重なる場合

これが最も一般的な調整の対象です。年金の日額と傷病手当金の日額を比較し、上記の方法で調整されます。

  • → 調整あり(支給停止 または 差額支給)

ケース2:「障害基礎年金」だけをもらっている場合

調整の対象としているのは「障害厚生年金」と「障害手当金」です。そのため、障害基礎年金だけを受給している場合は、原則として調整の対象外です。

  • → 原則、調整なし(両方もらえる)
    • ※ただし、同じ原因で障害厚生年金もあわせて支給される場合は、障害基礎年金と障害厚生年金を合算した額で日額を計算し、比較します。

ケース3:原因が「別の病気やケガ」の場合

調整の前提は「同一の傷病」であることです。例えば、障害年金の原因が「うつ病」、傷病手当金の原因が「骨折」といったケースでは、それぞれ別のものとして扱われるため、調整は行われません。

  • → 原則、調整なし(満額もらえる)

参考:老齢(退職)年金と重なる場合


具体的な計算例を見てみよう 📝

【例】

  • 障害厚生年金(障害基礎年金との合計額):年額 1,800,000円
  • 傷病手当金:日額 6,000円
  1. 年金の日額を計算する
    1,800,000円÷360=5,000円
  2. 傷病手当金の日額と比較する
    年金の日額(5,000円) < 傷病手当金の日額(6,000円)
  3. 支給される傷病手当金の額を計算する
    6,000円−5,000円=1,000円

→ この場合、1日あたり1,000円の傷病手当金が支給されます。


よくある質問(Q&A)

Q1. 在職中(休職中)は、障害厚生年金と傷病手当金を同時に満額もらえますか?
A1. いいえ。同じ病気やケガが原因であれば、在職中であっても傷病手当金は調整(支給停止または差額支給)されます。

Q2. 障害基礎年金だけを受給しています。傷病手当金は調整されますか?
A2. 原則として調整の対象外なので、両方受け取れます。ただし、同じ原因で障害厚生年金も受給する場合は、合算して調整計算されます。

Q3. 障害年金が1年遡って決まりました。過去にもらった傷病手当金はどうなりますか?
A3. 期間が重なる部分について、受け取った傷病手当金の返還を求められることがあります。年金の決定通知が届いたら、速やかに加入している健康保険(協会けんぽ、健康保険組合等)に連絡・相談してください。


手続きで失敗しないためのチェックリスト ✅

  • 期間の確認を忘れずに!
    障害年金の受給が決まったら(特に遡及した場合)、支給期間を必ず確認しましょう。傷病手当金の受給期間と重なる可能性があれば、すぐに協会けんぽ又は健康保険組合等へ連絡を。
  • 「別の病気」だと主張する場合
    単に病名が違うだけでなく、医学的な経過や因果関係が重要視されます。医師に相談し、診療情報提供書などで状況を明確にしてもらいましょう。
  • 基礎年金か厚生年金かが分かれ道
    初診日に加入していた年金制度によって、将来もらう障害年金の種類が決まります。これが調整の有無に直結するため、非常に重要です。

まとめ

  • 併給調整は「同一傷病 × 障害厚生年金(or 障害手当金)」がキーワード。日額ベースで差額または不支給。
  • 障害基礎年金のみ原則調整の対象外別傷病なら原則併給可。
  • 遡及決定での重複返還に発展することがあるため、早めの相談・期間整理が安全です。