精神障害の障害年金|通院状況・服薬状況はどう評価される?妊娠・副作用・通院困難のケースも徹底解説

精神の障害で障害年金を申請する際、「通院状況」「薬物治療の内容」「服薬状況」は審査において重要な項目です。
しかしこの部分は誤解されやすく、相談者の方からは次のような不安の声がよく寄せられます。

  • 「薬を飲んでいないと落ちてしまうのでは?」
  • 「通院できていないと不利なのか?」
  • 「妊娠中で薬が使えないのは問題になる?」
  • 「副作用で薬が続けられない場合はどうなる?」

こうした不安は自然なものですが、障害年金の審査は “薬を飲んでいるかどうかだけ” ではなく、その背景事情を総合的に評価する仕組み になっています。

以下では、精神障害の障害年金を専門とする社労士が、精神の障害に係る等級判定ガイドラインに沿って分かりやすく解説します。


■ 通院の頻度や内容だけでなく、通院が困難/不能な理由や他の治療の有無まで総合的に考慮されます

ガイドラインでは、通院状況も審査対象とされています。
ただし、通院の回数そのものよりも、なぜその通院状況になっているのか が重視されます。

たとえば、次のようなケースがあります。

  • 強い抑うつで動けず、予約や来院が困難
  • 外出しようとすると、動悸や不安が強く出てしまう
  • 病院まで向かっても途中で不安発作が出て引き返してしまう
  • ひきこもり状態で、一人で通院できない
  • 家族が付き添わないと外に出られない

これらはすべて 病状による通院困難 の一例です。
通院が少ないとしても、その背景を丁寧に示すことで、審査側が状況を理解しやすくなります。


薬物治療は量や種類のみで判断されず、対象症状、効果・副作用、期間、服薬状況、治療困難時の理由や代替治療まで含めて評価されます

薬物治療が審査対象であることは確かですが、
審査は薬の量や種類だけで判断されるわけではありません。

評価のポイントは以下の通りです。

  • どの症状に対して薬が処方されているか
  • 薬が必要な状態かどうか
  • 副作用の有無・治療の難しさ
  • 薬が症状にどの程度効果を示しているか
  • 投薬調整が頻繁に必要か(症状の不安定さ)

たとえば、過去に強い副作用が出たため服薬が難しい方もいます。
このような場合、医師と相談しながら漢方薬や心理療法を併用することがありますが、これは 治療の拒否ではなく、治療が難しい状況そのもの です。

背景が正確に説明されていれば、審査側の理解につながる可能性があります。


■ 服薬状況は 日常生活能力の評価 にも関係する

服薬状況は「飲んでいるかどうか」だけでなく、
生活能力や自己管理能力を把握するための重要な材料 でもあります。

たとえば、

  • 症状の影響で飲み忘れが多い
  • 服薬時間を守れない
  • 家族が管理していないと薬が飲めない
  • 副作用が強く、薬を継続すること自体が困難
  • 服薬後の眠気・倦怠感で生活に支障が出る

こうした事実は、日常生活における困難さを示す情報として重要です。


■ 薬物治療ができない場合は 正当な理由 を丁寧に伝えることが大切

ガイドラインでは、薬物治療が困難または不可能な場合、その理由が考慮されるとされています。
薬を使っていないからといって、ただちに不利になるというわけではありません。

以下は代表的な例です。

● 妊娠中で薬が使えない場合

妊娠中は胎児への影響を避けるため、薬の減量や中止が行われることがあります。
その結果、症状が不安定になり、生活へ影響が出ることもあります。

このような事情を丁寧に記載することで、審査側の理解が得られやすくなります。

● 過去の副作用で薬に抵抗がある場合

抗うつ薬や抗不安薬で強い副作用を経験し、薬物治療に恐怖を抱くケースがあります。
医師と相談しながら漢方薬や心理療法を選択している場合、その背景を明確に示すことで状況が理解されやすくなります。

● 外出困難・ひきこもりで通院できない場合

外出時に強い不安や動悸が出るため通院が難しいケースでは、
通院が途絶えていても、その理由が病状によるものとして理解される可能性があります。


■ 代替治療を行っている場合は プラス材料になることも

薬物治療が難しい中でも、

  • 漢方治療
  • カウンセリング
  • 訪問看護
  • 作業療法

などが行われている場合、
「治療していない」のではなく、「治療が難しい中でできる範囲の治療を継続している」
ことが伝わり、事情説明の際のプラス材料になる場合があります。


■ まとめ:治療状況の「理由」を丁寧に伝えることが大切

精神障害の障害年金では、通院や薬物治療の有無だけで判定されるわけではありません。
重要なのは、次の3点です。

  1. 治療が必要な状態であること
  2. 治療が難しい場合、その理由に医学的・生活上の事情があること
  3. 可能な範囲で代替治療や家族支援が行われていること

これらが丁寧に記載されていれば、審査側が状況を理解しやすくなります。
ただし、審査は総合判断で行われるため、特定の事情が必ず有利・不利につながると断言することはできません。


■ 精神障害の障害年金でお困りの方へ

通院や服薬がうまくいかないことは珍しくありません。
しかし、それらの背景には病状が影響しているケースも多く存在します。

こうした事情は、丁寧に整理して伝えることで審査側の理解が得られる可能性がありますが、
書き方次第で伝わり方が大きく変わる ため、不安を感じる方も少なくありません。

当事務所では、精神障害の障害年金に特化した専門社労士として、
医師への情報提供書の作成、申立書の内容整理など、重要な部分を丁寧にサポートしています。

治療状況の伝え方に不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。