傷病手当金と障害年金は一緒にもらえる?【併給調整を説明|同一傷病・日額比較・返還まで】

結論:まず、これだけ覚えておけばOK!
- 同じ病気やケガで「障害厚生年金」と「傷病手当金」の期間が重なる場合、傷病手当金が調整(停止または減額)されます。
- 「障害基礎年金」だけをもらっている場合は、原則として傷病手当金との調整はありません。
- 障害年金と傷病手当金の原因が別の病気やケガである場合も、原則として調整はありません。
- 後から障害年金の受給が決まり(遡及決定など)、過去の期間が重なった場合、受け取った傷病手当金を返金する必要が生じることがあります。
そもそも「併給調整」とは?
なぜ調整が必要なの? 🤔 同じ病気やケガを原因として、「健康保険の傷病手当金」と「厚生年金保険の障害年金(障害厚生年金・障害手当金)」の両方から満額の保障を受けると、過剰な給付になってしまいます。これを避けるため、傷病手当金の支給額を調整する仕組みが「併給調整」です。
どうやって調整するの?
調整は、それぞれの1日あたりの金額(日額)を比べて行います。
- 年金の日額 ≧ 傷病手当金の日額
- 傷病手当金は支給されません。
- 年金の日額 < 傷病手当金の日額
- その差額分だけ、傷病手当金が支給されます。
※年金の日額は、年金額を360で割って計算します。
(出典:全国健康保険協会「傷病手当金と障害厚生年金等の調整」)
ケース別:こんな場合はどうなる?
ケース1:同じ病気で「障害厚生年金」と重なる場合
これが最も一般的な調整の対象です。年金の日額と傷病手当金の日額を比較し、上記の方法で調整されます。
- → 調整あり(支給停止 または 差額支給)
ケース2:「障害基礎年金」だけをもらっている場合
調整の対象としているのは「障害厚生年金」と「障害手当金」です。そのため、障害基礎年金だけを受給している場合は、原則として調整の対象外です。
- → 原則、調整なし(両方もらえる)
- ※ただし、同じ原因で障害厚生年金もあわせて支給される場合は、障害基礎年金と障害厚生年金を合算した額で日額を計算し、比較します。
ケース3:原因が「別の病気やケガ」の場合
調整の前提は「同一の傷病」であることです。例えば、障害年金の原因が「うつ病」、傷病手当金の原因が「骨折」といったケースでは、それぞれ別のものとして扱われるため、調整は行われません。
- → 原則、調整なし(満額もらえる)
参考:老齢(退職)年金と重なる場合
退職後などに受け取る老齢厚生年金と傷病手当金の期間が重なる場合も、障害年金と同様に日額を比較して調整が行われます。
(出典:全国健康保険協会「傷病手当金と老齢退職年金の調整」)
具体的な計算例を見てみよう 📝
【例】
- 障害厚生年金(障害基礎年金との合計額):年額 1,800,000円
- 傷病手当金:日額 6,000円
- 年金の日額を計算する
1,800,000円÷360=5,000円 - 傷病手当金の日額と比較する
年金の日額(5,000円) < 傷病手当金の日額(6,000円) - 支給される傷病手当金の額を計算する
6,000円−5,000円=1,000円
→ この場合、1日あたり1,000円の傷病手当金が支給されます。
よくある質問(Q&A)
Q1. 在職中(休職中)は、障害厚生年金と傷病手当金を同時に満額もらえますか?
A1. いいえ。同じ病気やケガが原因であれば、在職中であっても傷病手当金は調整(支給停止または差額支給)されます。
Q2. 障害基礎年金だけを受給しています。傷病手当金は調整されますか?
A2. 原則として調整の対象外なので、両方受け取れます。ただし、同じ原因で障害厚生年金も受給する場合は、合算して調整計算されます。
Q3. 障害年金が1年遡って決まりました。過去にもらった傷病手当金はどうなりますか?
A3. 期間が重なる部分について、受け取った傷病手当金の返還を求められることがあります。年金の決定通知が届いたら、速やかに加入している健康保険(協会けんぽ、健康保険組合等)に連絡・相談してください。
手続きで失敗しないためのチェックリスト ✅
- 期間の確認を忘れずに!
障害年金の受給が決まったら(特に遡及した場合)、支給期間を必ず確認しましょう。傷病手当金の受給期間と重なる可能性があれば、すぐに協会けんぽ又は健康保険組合等へ連絡を。 - 「別の病気」だと主張する場合
単に病名が違うだけでなく、医学的な経過や因果関係が重要視されます。医師に相談し、診療情報提供書などで状況を明確にしてもらいましょう。 - 基礎年金か厚生年金かが分かれ道
初診日に加入していた年金制度によって、将来もらう障害年金の種類が決まります。これが調整の有無に直結するため、非常に重要です。
まとめ
- 併給調整は「同一傷病 × 障害厚生年金(or 障害手当金)」がキーワード。日額ベースで差額または不支給。
- 障害基礎年金のみは原則調整の対象外、別傷病なら原則併給可。
- 遡及決定での重複は返還に発展することがあるため、早めの相談・期間整理が安全です。
今回は傷病手当金に焦点を当て説明しました。
精神の障害年金を受給するための要件を確認されたい場合はこちらの記事を参照してください。

障害年金請求代行ホープ | はるた社会保険労務士事務所
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この記事は、はるた社会保険労務士事務所 代表の治田茂浩が監修しました。事務所概要はこちらのページで紹介しています。https://syougai-seishinhoken.com/info/


